大学病院の欠点と手術ランキングのウソ!上手な病院の変更方法
「手術」と言われたら、病院選びは慎重に。
ここでは、
- 「手術病院ランキング」のウソ
- これが、大学病院・総合病院の欠点
- セカンドオピニオンを成功させる手順とは?
などを書いていきます。
あてにならない!手術病院ランキング
巷には色々な「病院ランキングサイト」「ランキングの本」があふれています。
しかし、
本当に信用してよいのでしょうか?自分の体を預けてしまって良いのでしょうか?
何を根拠にランク付けしているのか?
どんな人が格付けしているのか?
突っ込めば「穴」だらけなのです。
昔から「病院の情報、内情」とは一般の人には閉ざされた部分でした。
「手術」ならなおさらの事です。
あるランキング本を手にとってみました。
そこでは「手術症例数・実績数」でランク付けされています。
手術を多く経験しているほどプラス評価になります。
たしかに一理あります。
症例を多く扱っていればデータや経験が蓄積され、技術は向上し、手術成績は上がっていきますので。
しかし、ちょっと待って下さい。
自分が、その「症例を多く経験した医師」に執刀してもらえるかどうかは、まったく「別の話」なのです。
ひとつの病院の中には“技術に差がある医師”が何人もいます。
腕の良い医師もいれば、そうでない医師も・・・
反対に、
「ランキングに入っていない病院」にも多くの優秀な外科医は実在しています。
事実、わたしの知り合いの病院長(医師)は、
自身が「心臓」の手術を受ける(命をあずける)際に選んだ病院は、ランキングになど登場しない「中規模の市中病院」でした。
術後の後日談でも「あの先生は上手い」と院長自身の口から聞きました。
術後の具合も良好です。
市中病院での手術を決めた理由は、
「自分の医師仲間から情報を聞いたから、その病院のその医師で手術を受けた」と聞かされました。
あえて、市中病院を選んだのです。
また、 「手術症例数」とは基本的に自己申告になります。
ということは、多少の数の「底上げ」も可能なのです。
そうすれば多くの患者さんが来て「病院の利益」が上がるからですね。
本当の「数」は「厚生労働省」が握っています。
しかし、決してその情報は明かされないでしょう。
その情報を出してしまえば、厚生労働省が前提とする「日本のどこに住んでいても同じ質の医療が受けられる」という保険制度が成り立たなくなってしまうからです。
そう見ていくと、我々に公開されているランキングとはなんと薄っぺらいものでしょう。
やはり、ほんの「参考」程度にとどめておくべきだと感じます。
これが、大学病院・総合病院の欠点
世間には「手術するなら大きい病院で」という“大病院信仰”が根付いています。
このイメージは、おそらく「芸能人」「政治家」などがそろって大学病院・総合病院で手術を受けた事がニュースになる事から来ているのではないでしょうか。
では、大きな病院は本当にあなたの身体に一番良い治療を行ってくれるのでしょうか?
正確な診断への近道とは
いわゆる地域の「かかりつけ医(ホームドクター)」でもある近所の診療所は、普段からその患者様の状態を診て健康管理をしています。
その人の病歴やアレルギー、生活習慣などの詳しい情報も知っています。
その上で、現在の病状に必要な治療、検査などを行い、手術が必要ならば「手術の出来る病院」を紹介してくれるでしょう。
その「紹介状」を持って大学病院・総合病院に行けば、あらかじめ必要な情報は一式そろっていますし、むしろ本人の話を長々と聞くより“的確”な情報を得ることができます。
それによって「不要な検査」を避けるこができ、それが「正確な診断」へとつながっていきます。
一方、
患者様が直接「大学病院・総合病院」へ出向いて診察を受けた場合。
「医師が必要としている的確な情報」を、患者様自身の口から”順序良く”正確に”伝えることはかなり難しい事です。
その結果、不要な検査や投薬で時間とお金を無駄にし、あげくに「手術好きの医師」にかかると「スグ」手術を勧めてきます(手術を行わなくても治る症例でも勧められている患者様を何人も見ました)
わたしの家内の経験では「早速、今日、予約を取っていってください」と、家族とじっくり考える猶予も与えられませんでした。
断ればあからさまに不満気な対応をされたと言います。
本来は、ここで「セカンドオピニオン」を求めるべきでした。
セカンドオピニオンとは
(『スムーズなセカンドオピニオンの手順』は、下で述べていきます)
しかし一方で、大学病院・総合病院は個人のクリニックでは到底出来ないような検査も受けられ、結果も(通常は複数の医師がチェックするので)より正確な診断が出来ることも事実です。
要は、
- まずはホームドクター(かかりつけ医)
- 手術を決めるなら「セカンドオピニオン」を求めてから
という事になります。
これが、かかりつけ医を変える時
ホームドクターに紹介状を書いてもらう時、何も言わないと、通常、その先生の卒業した大学系列の病院か、「知り合いがいる」という病院を紹介されてしまいます。
しかし、本来は「膝の手術に最適な病院はここ」「膝に強い(詳しい)病院はここ」という紹介をしてもらいたいですよね。
実際はそういかない場合がほとんどです。
もし、あなたがそういった最適な病院をご存知なら、ぜひ申し出下さい。
まず断る医師はいないと思います。
万が一断られたら・・・・
かかりつけ医を変えることをお勧めします。
セカンドオピニオンを成功させるための手順
かなりポピュラーになった「セカンドオピニオン」という言葉。
これは、「“ある診断”に対して、その診断した医師以外の医師の意見を聞くこと」を言います。
その結果、「転院・転医」という選択もあります。
事実、医師や病院によって技術や質に差が出ているのです。
そもそも、
「人間の病気を診断する」という事は、機械の修理とは違い、非常にあいまいなもの。
「このパーツを交換すれば治る」と、単純にはいかないのです。
もちろん「こういう症状ならこの病気」という教科書(マニュアル)はあります。
ありますが、それは、個人の体質、年齢、性別、病歴、生活状態、職業、併発している病気などでいくらでも変わってくるもの。
つまり、ひとつの病気に対しても「A先生」と「B先生」では診断が変わることは日常茶飯事です。
的確な診断は、それだけ難しいとも言えます。
ですから、セカンドオピニオンで「複数の医師の意見を聞くこと」は大切なことなのです。
しかし、
入院してからや手術が終わってからの転院となると、いろいろな点で不利になります。
また、
医師の気持ちとしても、患者さんの病状は最初から診たいものです。
その方の体質や病状の変化などを細かく把握してきめ細かい治療が出来るとともに診断も容易だからです。
セカンドオピニオンを行うなら、なるべく早い段階で決めたいところです。
実際の手順は?
担当医にセカンドオピニオンを申し出る(「同じ科のある病院」か「セカンドオピニオン外来」を設けている病院へ)
↓
レントゲン写真やそのCD-ROM、情報提供書などを受け取る
↓
病院によっては予約が必要なので、確認後、セカンドオピニオンで受診
↓
診察の結果、もし同じ診断ならば「どちらで治療していくか?」を決める。両方とも違う診断が出たら、3つめを受診(サードオピニオン)
↓
それでも違う診断であれば、それだけ診断が難しいという事なので、出来ればその3つのうちで決めていく(と、私は教わりました)
セカンドオピニオンを申し出る“言い方のコツ”とは?
やみくもに「他で診てもらいたい」と言い出せば、プライドの高い医師のこと、「うちがイヤなら他でどうぞ」と、サジを投げられかねません。
それ以前に「ちょっと言いにくい」というのが本音でしょうか。
そこで、こう言ってはどうでしょう?
(手術を迫られたあとに)
「手術は初めてで、自分にとっては重大な事です。他の意見も聞いてみたいというのが正直なところなのですが、これは間違った考えでしょうか。」
こう言って「そりゃ間違っとる!」なんて医師はあまりいないと思います。
それでもイヤな顔をされたら、こう言ってみましょう。
「たとえば、先生のところにセカンドオピニオンとして自分のような患者が来たとしたら、先生はどうされますか?やはり診てあげるのですよね?」
このように「先生なら~」という言い方で、医師自身の立場で考えさせれば相手も真剣に考えるものです。
次回「手術は怖い?医者と病院の上手な選び方、失敗する選び方」では、
- 知っておきたい手術の盲点
- 「安心して手術を任せられる病院」の選び方
- 失敗しない医者の選び方
などを書いていきます。